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破天荒アラフォーいざ参る!【不死川実弥夢】

第1章 始まり



その夜。

斗和は一人、縁側で酒を飲んでいた。

「……私、実弥のこと好きなんだ」

口にしてしまえば、あまりにも簡単だった。

今まで感じていた胸のざわつきも、カナエと話す実弥を見た時の苦しさも、全部繋がった。

「……そりゃ嫉妬するわ」

徳利を傾ける。

けれど――斗和には、知っていることがあった。

原作で、実弥はカナエに好意を持っていた。

それを知っているからこそ、余計に苦しい。

「……私が入り込んでいい場所じゃないよね」

実弥がカナエを見る、あの柔らかな眼差し。

今日見たものと、原作で知っている情報が重なってしまう。

「……カナエさんなら、実弥とお似合いだもん」

自分よりずっと若くて、優しくて、美しい。

何より――実弥が好きになる理由を、斗和にはいくらでも理解できてしまった。

「……はぁ」

酒を一口飲む。

「好きにならなきゃよかった」

そう呟いた時。

「何してやがるゥ?」

「……っ!」

背後から聞こえた声に、斗和は慌てて徳利を隠した。

「実弥……?」

「こんな夜中に一人で酒飲んでんじゃねェ」

「……別にいいでしょ」

「よくねェ」

実弥が隣に座る。

近い。

それだけで胸が苦しくなる。

「……なぁ、実弥」

「あ?」

「カナエさんのこと……好き?」

実弥が黙る。

その沈黙だけで、斗和の胸は締めつけられた。

「……そうなんだ」

「おい、何で勝手に――」

「大丈夫」

斗和は笑った。

「応援するよ」

その笑顔は、ひどく寂しかった。

「……だから、私は大丈夫」

実弥は眉をひそめる。

「テメェ……何でそんな顔してやがる?」

「……何でもないよ」

斗和は立ち上がる。

原作を知っているからこそ、怖い。

自分が実弥の未来を変えてしまうことが。

そして何より――

知っている未来と、自分の気持ち。そのどちらを信じればいいのか分からなくなっていた。
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