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破天荒アラフォーいざ参る!【不死川実弥夢】

第3章 守りたいもの…



「……だから、今も飲んでんのか」

実弥の声は低かった。

斗和は答えない。

机の上には、いつもの酒瓶。

「師匠が飲んでたから…かァ?」

「……それだけじゃないよ」

斗和は酒瓶を手に取る。

「師匠の血が鬼を傷つけたのを見た。あの時のあたしは、何もできなかった」

「……」

「だったら、同じことができるようになればいいって思った」

斗和は笑った。

けれど、その笑顔はどこか寂しい。

「師匠みたいに、誰かを守れるようになればいいって」

「だからテメェも、自分の血を毒にしたのか」

「うん」

「身体が壊れるかもしれねェのに?」

「……そうだね」

あまりにもあっさりした返事に、実弥の眉間に皺が寄る。

「ふざけんな」

「実弥?」

「師匠が死んだからって、テメェまで死ぬ必要がどこにある」

斗和の表情が止まった。

「……私は、師匠を救えなかった」

「だからって――」

「ずっと思ってた」

斗和が静かに続ける。

「もっと強ければ。もっと早く斬れれば。あの時、私の血も師匠みたいに毒だったらって」

実弥は拳を握った。

「……過去は変えられねェ」

「うん」

「だがなァ、斗和」

斗和は真っ直ぐ彼女を見る。

「テメェが死んだら、その師匠が残したもんまで全部無駄になるだろうが」

「……」

斗和の瞳が揺れる。

「師匠はテメェに『生きろ』って言ったんだろォ」

「……言った」

「だったら、生きろ」

乱暴な言葉だった。

けれど斗和には、それが不思議なくらい優しく聞こえた。

「……実弥ってさ」

「何だァ」

「たまに、ずるいよね」

斗和は小さく笑う。

「師匠と同じこと言うんだもん」

実弥は顔をしかめた。

「……知るかァ」

その横で、酒瓶だけが静かに揺れていた。
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