第3章 守りたいもの…
産屋敷邸を出た斗和は、深いため息を吐いた。
「……とうとう捕まったなぁ、あたし」
その日の夜。
実弥が屋敷へ戻ると、鎹鴉が騒がしく飛び回っていた。
『カァーッ! カァーッ! 重大報告!』
「うるせェなァ。何だァ?」
『鋼鐵塚斗和! 本日付で正式に柱へ任命!』
「…………は?」
実弥が固まる。
『新たなる柱! 酔柱・鋼鐵塚斗和!』
「……あの野郎」
実弥の額に青筋が浮いた。
「俺には何も言ってねェじゃねェかァ!」
『カァーッ! 任命理由、長年の功績と卓越した戦闘能力!』
「それは知ってる!」
実弥は頭を抱えた。
だが、怒りだけではなかった。
やっぱり。
自分がずっと感じていた違和感は間違っていなかった。
斗和はただの甲隊士なんかじゃない。
ずっと前から、柱になるだけの実力を持っていた。
それなのに――今まで頑なに拒み続けていた。
「……何で急に受けやがったァ?」
その理由が、実弥には分からなかった。
煉獄がいなくなった直後。
そして、斗和自身があれほど酒を飲み続けている時期。
「……まさか」
実弥の脳裏に、倒れた斗和の姿が浮かぶ。
「また一人で何か背負いやがったんじゃねェだろうなァ……」
そこへ、鎹鴉がさらに告げる。
『柱任命! 名は酔柱! 鋼鐵塚斗和!』
「……酔柱、ねェ」
実弥は小さく息を吐いた。
「似合ってやがるのが腹立つなァ」
そして翌朝。
斗和の屋敷へ向かう実弥の足取りは、いつもより速かった。
本人の口から直接聞くまで、絶対に納得するつもりはなかった。