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破天荒アラフォーいざ参る!【不死川実弥夢】

第1章 始まり



最初に思った。

――なんだ、この女。

鬼を探して山を歩いていた俺の鼻に、酒の匂いがまともに突き刺さった。

「……酒?」

こんな夜中に、こんな山奥で酒を飲んでいる馬鹿がいる。

木の陰から覗けば、女が一人。

徳利を片手に、ふらふら歩いてやがる。

「テメェ、こんなところで何してやがる?」

声を掛けると、女は振り返った。

「ん? 鬼殺隊だよ。アンタも?」

間の抜けた声。

緊張感もねェ。

刀を持ってるくせに、酔っ払いみてェな顔をしてやがる。

「鬼が出る場所で酒なんざ飲んでんじゃねェ。殺されてェのかァ?」

「まあまあ。そんな怖い顔しないの」

――気に食わねェ。

そう思った瞬間だった。

鬼が背後から飛び出した。

「死ねェ!」

俺が刀を抜くより早く、女の姿が揺れた。

「酒の呼吸――壱ノ型・一献風酔」

ふらり。

まるで足元がおぼつかねェ酔っ払いみてェな動き。

だが――

次の瞬間。

鬼の頸が落ちた。

「……は?」

理解が追いつかなかった。

今の動き。

あの間合い。

俺には見えなかった。

女は刀についた血を払い、何事もなかったように徳利を傾ける。

「はい、おしまい」

「……テメェ」

思わず睨みつける。

「何者だァ?」

「ただの甲の隊士だよ」

「……甲?」

ふざけんな。

今の一太刀が、ただの甲にできるわけがねェ。

目の前の女は笑っている。

酒臭くて、掴みどころがなくて、何を考えてるのか分からねェ。

なのに――

俺は初めて会ったその女から、目を離せなかった。

「不死川実弥、だっけ?」

「……あァ」

「よろしくね、実弥」

馴れ馴れしい。

そう思った。

けど――

後になっても、あの女の最初の印象だけは、どうしても消えなかった。

酒臭ェ、ふざけた女。

そして――

俺より、強ェ女。
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