第3章 守りたいもの…
その頃、実弥の知らない場所で、斗和はまた倒れていた。
任務先で鬼を仕留めた直後だった。
傷口から流れ続ける血を気にも留めず、最後まで戦い抜いた結果――視界が暗転した。
「斗和さん!」
隠たちが慌てて駆け寄る。
また蝶屋敷へ運ばれることになった。
一方、実弥は別の隊士から思いもよらない話を聞いていた。
「不死川さんの弟さん……不死川玄弥って隊士、ご存じですか?」
「……玄弥?」
その名前に、実弥の表情が固まる。
「呼吸が使えないのに、鬼殺隊に入ったらしくて……それでも鬼と戦ってるそうです。岩柱の悲鳴嶼さんのところにいると聞きました…」
「……」
呼吸が使えない。
それでも鬼殺隊に残っている。
その事実が、胸の奥を掻きむしった。
玄弥を死なせたくなかった。
ただ、それだけだった。
なのに今の自分は――斗和に同じことを言われている。
「……馬鹿が」
誰に向けた言葉なのか、自分でも分からない。
玄弥なのか。
斗和なのか。
それとも、自分自身なのか。
守るために突き放す。
守るために自分を傷つける。
どちらも結局、残される側の心を置き去りにする。
「……俺ァ、何やってんだァ」
その頃、蝶屋敷では斗和が再び目を覚まそうとしていた。
そして実弥はまだ知らない。
自分が斗和との約束を破られた直後、今度は自分自身の弟と向き合わなければならなくなることを。