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破天荒アラフォーいざ参る!【不死川実弥夢】

第2章 誰も知らない秘密




「……一人でも救えるなら、私は飲むよ」

斗和はまっすぐ実弥を見る。

「それが実弥の大事な人だったとしても、同じこと言える?」

「……っ」

実弥の喉が詰まった。

答えが出てこない。

誰かの命を救うためなら、自分を犠牲にする。

その覚悟自体を否定することはできない。

だが――。

「……卑怯な聞き方しやがる」

「ごめん」

「謝んなァ」

実弥は酒瓶を握り締めた。

「……そんなもん、言えるわけねェだろォ」

斗和が目を伏せる。

「じゃあ、どうして私ならいいの?」

「よくねェ!」

思わず怒鳴る。

「テメェだから駄目なんだよォ!」

その瞬間、斗和の目が僅かに揺れた。

――数日後。

鬼との戦闘。

斗和が刀を振り抜いた。

鬼の爪が斗和の腕を裂く。

鮮血が飛び散る。

「斗和!」

実弥が駆け寄ろうとした、その時。

鬼が突然、苦しみ始めた。

「ギャアアアッ!」

斗和の血が付着した箇所から、鬼の肉が焼けるように崩れていく。

再生しようとしても、傷口が塞がらない。

「な……何だ、この血ィ……!」

鬼が怯える。

斗和は無言で刀を構え直した。

「……これが、私の毒」

次の一閃。

鬼の首が落ちた。

実弥は言葉を失っていた。

確かに効果はある。

藤の毒を身体に取り込み続けたことで、斗和の血は鬼にとって明確な毒になっている。

――だからこそ。

「……ふざけんなァ」

実弥が低く呟く。

斗和が振り返る。

「何が?」

「そんなもん見せられて、止めろって言えるかよォ……」

人を救える力。

鬼を弱らせる血。

それは確かに、斗和が望んだものだった。

けれど同時に、それを作るために斗和自身が毎日毒を飲み続けている。

「……俺は、テメェが誰かを救うことを止めたいんじゃねェ」

実弥は拳を握る。

「ただ……そのためにテメェまで死ぬのだけは、絶対に認めねェ」

斗和は何も言わなかった。

その横顔を見ながら、実弥は初めて気づいた。

――自分はもう、斗和の命を「守るべき仲間」以上に大切に思っているのだと。
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