• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

破天荒アラフォーいざ参る!【不死川実弥夢】

第2章 誰も知らない秘密




「……関係あるっつってんだろォ!」

実弥の声が響く。

それでも斗和は、視線を逸らしたまま酒瓶を口元へ運んだ。

「……飲まないと、落ち着かないんだよ」

「だったら余計に飲むなァ」

「これは薬みたいなもん」

「酒が薬だァ?」

「私にはね」

斗和は笑ってみせる。

だが、その笑顔はいつもの豪快なものとは違っていた。

どこか無理をしている。

実弥は黙って斗和を見つめた。

最近、明らかにおかしい。

任務から戻るたびに顔色が悪い。

夜になると咳き込む。

酒を飲んだ直後には苦しそうに胸元を押さえる。

それなのに、翌朝には何事もなかったように振る舞う。

そして何より――。

「……斗和」

「ん?」

「昨日の傷、見せろォ」

「もう治ったよ」

「だから見せろっつってんだァ」

「嫌」

即答だった。

実弥の眉間に皺が寄る。

「テメェ……」

「大丈夫だから」

「その“大丈夫”を何回聞いたと思ってんだァ」

斗和は答えず、酒瓶を抱えるようにして立ち上がった。

その瞬間――身体が僅かによろめく。

「……っ」

「おい!」

実弥が腕を掴む。

斗和は一瞬だけ顔を歪めた。

だが、すぐに笑う。

「ちょっと立ち眩みしただけ」

「……今、痛ェ顔しただろォ」

「してない」

「した」

「してないって」

「俺ァ誤魔化されねェぞォ」

低い声だった。

斗和は黙り込む。

実弥はその沈黙を見逃さなかった。

何かを隠している。

しかも、本人はそれを知られたくないと思っている。

「……何隠してやがる」

「何も」

「嘘つけェ」

「本当に何もないよ」

斗和は笑って、実弥の手をそっと振りほどく。

「心配しすぎなんだよ、実弥」

そう言い残して、斗和は背を向けた。

その手には、僅かな震えが残っている。

実弥は何も言わなかった。

ただ、その背中を睨み続ける。

――絶対に何かある。

そして斗和が、それを死ぬほど隠したがっていることだけは、もう分かっていた。
/ 151ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp