第10章 最終決戦!
無限城が崩壊を始め、無惨の身体は瓦礫とともに城の外へと放り出された。
「太陽が……! 太陽が昇る……!!」
無惨は地面を這いずり、必死に日陰を探して逃げようとする。
その進路を塞ぐように、一台の車が猛スピードで突っ込んできた。
「鬼舞辻ィィィ!! 逃がすかァ!!」
運転席にいたのは、隠の後藤だった。
「後藤!?」
隊士たちが驚く間もなく、別の車も次々と無惨へ突っ込んでいく。隠たちが己の命を懸け、無惨を太陽の下へ押し留めていた。
「おのれ……人間ごときがァァァ!!」
無惨の肉体が、朝日に焼かれ始める。
再生しようともがく肉片が、次々と灰になって崩れ落ちていく。
「私は……! 私は……!!」
最後の叫びも、朝の光に呑まれた。
やがて、無惨の身体は完全に消滅した。
長い、長い戦いが――ついに終わったのだ。
誰もがその場に崩れ落ちた。傷だらけの隊士たち。刀を握る力さえ残っていない柱たち。涙を流す炭治郎や善逸。玄弥も、震える足で周囲を見回していた。
「……斗和さんは!?」
その声に、実弥が弾かれたように顔を上げた。
少し離れた場所。血溜まりの中に、斗和が横たわっていた。
「……斗和?」
返事はない。
実弥は傷ついた身体を引きずり、彼女のもとへ駆け寄った。
「おい……おい、斗和……!」
膝をつき、震える手で彼女を抱き起こす。血に濡れた頬に触れても、斗和は目を開けなかった。
「ふざけんじゃねェ……。おい、起きろ……! 終わったんだぞォ……!」
声が掠れる。
「約束しただろうが……一緒に帰るって……!」
返事のない彼女を抱き締め、実弥は必死に名前を呼び続けた。
だが、張り詰めていた糸は、とうに限界を迎えていた。
視界が霞む。腕から力が抜けていく。
「……斗和……」
彼女を抱き締めたまま、実弥の身体が傾いた。
駆け寄った玄弥が叫ぶ。
「兄ちゃん!!」
しかし、その声はもう届かなかった。
実弥は斗和を抱き締めたまま、静かに意識を失った。
朝日だけが、二人を優しく照らしていた。