第10章 最終決戦!
「ぐああああッ!! この私が……鬼の始祖である私がァ!!」
無惨の身体から無数の触手が伸びる。
「全員、避けろォ!!」
実弥が斗和の腕を引き寄せた。直後、触手が二人のいた場所を抉る。
「っ、危ねぇ……!」
「馬鹿野郎! 前に出すぎなんだよォ!」
「いや、今のはアンタもでしょ!」
言い返しながらも、斗和は実弥の傷だらけの身体を見て顔を歪めた。裂けた羽織の下から、血が流れ続けている。
「実弥、もう身体が……!」
「うるせェ! テメェこそ、ふらついてんじゃねェか!」
互いに譲らない二人。その背後から玄弥が叫んだ。
「兄ちゃん! 斗和さん! 無惨の動きが鈍ってる! 今ならいける!!」
炭治郎も頷く。
「毒が効いてる! 再生が追いついていないんだ!」
「なら、畳み掛けるよ!」
しのぶの声に、斗和は刀を握り直した。
身体はとっくに限界だった。藤の毒を含んだ血が全身を巡り、指先は冷え切っている。それでも、ここで止まるわけにはいかなかった。
「斗和!」
実弥が鋭く呼ぶ。
「……分かってる。最後まで一緒だよ、実弥」
実弥の表情が一瞬だけ歪んだ。
「当たり前だァ。勝手に俺より先に逝きやがったら、地獄まで追いかけてぶん殴るぞォ」
「ははっ……何それ。最悪のプロポーズじゃん」
「黙れェ!」
怒鳴りながらも、実弥は斗和の手を一瞬だけ強く握った。
そして二人は、再び無惨へ向き直る。
「風の呼吸――!」
「酒の呼吸――!」
風と酔いの刃が交差し、無惨の首元へ迫る。
「おのれェェェ!!」
無惨が絶叫する。
夜明けまで、あとわずか。
誰一人として、刀を下ろす者はいなかった。