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破天荒アラフォーいざ参る!【不死川実弥夢】

第2章 誰も知らない秘密




その日の任務で、斗和は明らかに様子がおかしかった。

「――酒の呼吸、壱ノ型!」

鬼の腕を斬り落とした瞬間、斗和の視界がぐらりと揺れる。

「……っ」

足元がふらついた。

いつもなら追撃するはずなのに、刀を握る手が震えて動かない。

「斗和!!」

鬼の爪が迫る。

実弥が間一髪で割って入り、鬼を斬り伏せた。

「何ボサッとしてやがる!」

「……ごめん。ちょっと、目眩が……」

斗和は笑って誤魔化す。

だが、次の瞬間。

「ごほっ……!」

口元を押さえると、手のひらに血が滲んだ。

実弥の目が鋭くなる。

「……テメェ、吐血してんのかァ?」

「大丈夫。まだ動ける」

「動けるじゃねぇ!」

それでも斗和は刀を握り直した。

「この程度なら――」

再び鬼へ斬り込む。

しかし、踏み込んだ瞬間に膝が崩れた。

「……っ!」

身体が思うように動かない。

実弥が鬼の首を斬り落とし、斗和を支える。

「テメェ、最近ずっとこうなのかァ?」

「…………」

その沈黙が答えだった。

任務を終えた夜。

実弥は斗和の酒瓶を奪った。

蓋を開けると、漂う藤の匂い。

「……藤の毒か」

「……」

「これを毎日飲んで、鬼を殺せる血を作ってやがったんだなァ」

斗和は諦めたように頷いた。

「私の血は鬼にとって毒になる。だけど、その代わり……身体にも少しずつ影響が出てる」

「少しじゃねぇだろォ!」

実弥は怒鳴った。

「手ェの震え、目眩、吐血……今日なんか刀すらまともに振れなかったじゃねぇかァ!」

斗和は俯く。

「……それでも、この血があれば鬼を殺せる」

「そのためにテメェが死んだら意味ねぇだろォ!」

実弥は震える斗和の手を握った。

「もう勝手に隠すな。テメェが倒れたら、俺が支える。だから――一人で身体を壊すんじゃねぇ」

斗和はしばらく黙っていた。

やがて、小さく笑う。

「……分かった」

その笑顔の奥に隠された痛みを、今度こそ実弥は見逃さなかった。
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