第9章 ついに……
実弥の血に蝕まれ、黒死牟の動きが鈍る。
「今だァ!!」
実弥が斬り込む。
「玄弥、いける!?」
「……ああ!」
玄弥も震える手で銃を構えた。
「斗和!」
「任せて!」
三人の攻撃が重なる。
実弥の二刀が黒死牟の刃を弾き、斗和が懐へ潜り込む。そして玄弥の一撃が、黒死牟の動きを完全に止めた。
「――ここだァッ!!」
実弥の刃が首へ食い込む。
「俺も……!」
玄弥が力を振り絞る。
斗和も刀を握り直した。
「終わらせるよ!!」
三人の刃が、同時に黒死牟の首を断った。
黒死牟の身体が崩れ落ちる。
「……終わった……?」
玄弥が呟く。
しばしの静寂。
斗和は真っ先に玄弥へ駆け寄った。
「玄弥!」
「……斗和さん?」
斗和は玄弥の肩、腕、胸元を次々と確認する。
「怪我は!? ちゃんと喋れる!? どこか痛いところない!?」
「だ、大丈夫です……!」
玄弥が苦笑する。
「ほら……生きてます」
その言葉を聞いた瞬間。
斗和の目から、ぽろりと涙が落ちた。
「……よかった……」
もう一粒。
「本当に……よかった……!」
斗和は玄弥を強く抱きしめる。
「死んじゃったら……どうしようって……!」
「斗和さん……」
玄弥が驚きながらも、そっと背中に手を回す。
「俺、兄ちゃんにも……斗和さんにも……守ってもらったから」
少し離れた場所で、実弥が息を整えながら二人を見ていた。
「……ったく。泣くなァ、斗和」
「だって……!」
斗和が涙で濡れた顔を実弥へ向ける。
「玄弥が無事だったんだよ……!」
「……あァ」
実弥の表情が僅かに緩む。
「よかったなァ」
そして実弥は、ふらつきながらも斗和の頭へ手を置いた。
「もう心配すんなァ。二人とも生きてる」
斗和はその手に自分の手を重ねる。
「……うん」
ようやく、胸の奥に張り詰めていたものがほどけていった。