第8章 想い…②
「……もう少しだけ、このままでいようか」
「ああ」
斗和が実弥の胸元で微笑むと、実弥の腕がぎゅっと強くなる。
「……実弥?」
「お前、俺の隣から離れんなよォ」
「急にどうしたの?」
「さっきから考えてたんだ。戦場でお前を見失うのも嫌だ。誰かがお前の傍にいるのも……正直、気に食わねェ」
「誰かって?」
「男なら全員だァ」
「ふふっ、何それ」
「笑い事じゃねェ」
実弥は斗和の頬に手を添えた。
「お前が誰かに優しくすんのも、楽しそうに笑うのも……俺だけにしてほしいと思っちまう」
「……実弥」
「面倒くせェ男だって分かってる」
「うん」
「否定しろォ」
斗和は笑って、実弥の頬を両手で包む。
「でも、そういう実弥も好き」
「……っ」
実弥が一瞬、言葉を失う。
「大丈夫。あたしが帰ってくる場所は、実弥のところだから」
「……絶対だなァ?」
「絶対」
「約束しろ」
「約束する」
その言葉を聞くと、実弥は斗和をさらに強く抱き締めた。
「……なら、もう離さねェ」
「苦しいってば」
「知らねェ。今日はずっと俺のもんだァ」
「はいはい」
「返事が軽ィ」
斗和は少し笑って、実弥の胸に顔を埋める。
「じゃあ……ずっと実弥の隣にいる」
「……それでいい」
実弥は満足そうに目を細め、斗和の額へそっと口づけた。
その腕は、いつまでも緩まなかった。