第8章 想い…②
作戦会議を終え、斗和の屋敷。
「……疲れたァ」
部屋に入るなり、実弥は畳に座り込んだ。
「お疲れさん」
斗和が笑って隣に腰を下ろす。
すると突然、実弥の腕が伸びた。
「わっ……!」
そのまま強く抱き寄せられる。
「ちょ、実弥?」
「……黙ってろォ」
斗和の肩口に顔を埋め、実弥は離そうとしない。
「今日、ずっと嫌な予感がしてんだよ」
「……うん」
「分断されるだの、一人で戦うだの……二度と聞きたくねェ」
抱き締める腕に、さらに力がこもる。
「……あたしだって、実弥に死んでほしくないよ」
「なら無茶すんなァ」
「実弥もね」
「……努力する」
「珍しい」
斗和がくすりと笑うと、実弥が顔を上げた。
「何笑ってんだァ」
「だって、実弥が素直だから」
「うるせェ」
そう言いながらも、実弥は斗和の頬に手を添える。
「……斗和」
「ん?」
「俺ァ、お前を失うのが一番怖ェ」
その言葉に斗和の表情が柔らかくなる。
「……あたしも」
斗和からそっと額を寄せる。
実弥は一瞬だけ目を見開いたあと、照れ隠しのように斗和を抱き直した。
「……もう一回」
「何を?」
「さっきの」
「ふふ、甘えん坊じゃん」
「うるせェ」
斗和が笑いながら抱き締め返す。
そのまま二人はしばらく離れなかった。
やがて斗和が実弥の頬に軽く口づける。
「これで満足?」
「……足りねェ」
「欲張りだねぇ」
「お前相手ならなァ」
今度は実弥から、そっと唇を重ねる。
短い口づけのあと、二人は顔を見合わせ――どちらからともなく笑った。
戦いの不安も、未来への恐怖も。
今だけは全部忘れて、互いの温もりだけを確かめるように、二人は強く抱き締め合っていた。