第8章 想い…②
作戦会議が終わろうとしていた。
しのぶが紙をまとめ、実弥が立ち上がる。
「じゃあ、あとは童磨を見つけ次第――」
「……待って」
斗和の声に、二人が振り返った。
「どうした?」
実弥が眉を寄せる。
斗和は、机の上に残された作戦図を見つめていた。
「……あたしたち、三人で戦う前提で話してたけど」
「ええ」
しのぶが頷く。
「鬼との戦闘では、必ずしも三人一緒に戦えるとは限りません」
「……そういうこと」
斗和は三人の名前を紙に書き、それぞれを離していく。
「童磨と戦う前に、別の鬼の血鬼術で分断されたら?」
「……!」
しのぶの表情が変わった。
「たとえば、空間を隔てる術や、転移させる術……そういった血鬼術を使う鬼がいた場合」
「実弥だけ別の場所に飛ばされるかもしれない」
斗和が続ける。
「あたしとしのぶちゃんが一緒とは限らない。三人全員、別々になる可能性だってある」
「……チッ」
実弥が舌打ちする。
「その場合、あたしは一人で童磨と戦うことになる」
「ふざけんなァ」
「だから、最悪の場合を想定するの」
斗和は実弥を真っ直ぐ見た。
「戦いなんだから、何が起こるか分からないでしょ?」
「……」
「だから決めよう。三人が離された時、それぞれどう動くか」
しのぶが静かに頷く。
「確かに必要ですね。合流を最優先にするのか、それとも各自で童磨への対策を進めるのか」
「俺は斗和のところへ行く」
実弥が即答した。
「何があろうが、絶対にだァ」
「実弥」
「……なんだァ?」
「それが無理だった場合は?」
実弥が言葉を失う。
斗和は小さく息を吐いた。
「だから、その時のための作戦を決めるんだよ」
しのぶは新しい紙を取り出した。
「では、三人が分断された場合の行動を、一つずつ決めていきましょう」
「……ああ」
「うん」
三人は再び机を囲んだ。
今度の作戦会議は――誰一人として欠けないためのものだった。