第8章 想い…②
翌日の夜。
蝶屋敷の一室に、斗和、しのぶ、実弥の三人が集まっていた。
「では、改めて作戦を整理しましょう」
しのぶが机に紙を広げる。
「まず、斗和さんの血には藤の花の毒が含まれている。ただし、濃度を上げすぎれば斗和さん自身の身体が持ちません」
「そこは絶対に無理させねェ」
実弥が即座に口を挟む。
「……分かりました」
しのぶは頷き、続けた。
「私の毒と斗和さんの血。その二つを同時に童磨へ作用させることが第一段階です」
「俺は?」
「不死川さんには、斗和さんが食われる前に介入していただきたいです」
「分かった」
「ただし――」
しのぶが二人を見た。
「童磨は非常に強い。私たちが三人揃っていても、全員が無傷で済むとは限りません」
「上等だァ」
実弥が刀に手を添える。
「俺ァ、斗和を守りながら鬼の首を斬る。それだけだ」
「ちょっと、あたしを守るだけじゃなくて自分も守ってよ」
「テメェに言われたかねェよ」
「はいはい、夫婦喧嘩は後でお願いしますね」
「「夫婦じゃねェ!」」
二人が同時に叫び、しのぶが小さく笑った。
「息ぴったりですね」
「……ったく」
実弥が顔を逸らす。
斗和は苦笑しながら、机の上の作戦図を見つめた。
「じゃあ、最終確認。あたしが童磨の注意を引く。しのぶちゃんが毒を仕込む。実弥は――」
「テメェが危なくなったら、俺が割り込む」
「でも、無茶は――」
「しねェ」
実弥が斗和を見る。
「テメェも、勝手に死ぬな」
「……うん」
斗和は静かに頷いた。
「三人で、生きて帰ろう」
「はい」
「当然だァ」
その言葉だけは、三人とも迷わなかった。