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破天荒アラフォーいざ参る!【不死川実弥夢】

第8章 想い…②




夜更け。

 蝶屋敷の一室で、斗和としのぶは向かい合っていた。

「……藤の花の毒を、ずっと飲み続けているんですね」

 しのぶの視線が、斗和の酒瓶へ落ちる。

「うん。酒で薄めて、少しずつ」

「身体への負担は?」

「あるよ。でも、まだ動ける」

 斗和は笑った。

「それより、童磨をどうするかでしょ?」

 しのぶの表情が僅かに曇る。

「……はい。あの鬼だけは、私がこの手で――」

「しのぶちゃん」

 斗和が静かに遮った。

「あたしにやらせて」

「……え?」

「藤の毒なら、あたしの身体はもう普通じゃない。血にも毒が回ってる。童磨に食われることが前提なら……あたしのほうが使えるかもしれない」

「斗和さん、それは――」

「しのぶちゃんが何をしようとしてるか、分かってる」

 斗和の声は穏やかだった。

「だから、その役目……あたしが代わる」

「駄目です」

 しのぶが即座に言った。

「そんな方法を選べば、斗和さんは――」

「分かってるよ」

 斗和は酒瓶を握り締めた。

「でも、実弥には言えない。玄弥にも言えない。あの二人に、あたしが死ぬかもしれないなんて……言えるわけないじゃん」

 その時だった。

「――兄ちゃんはどうなるんですか!?」

 襖が勢いよく開いた。

「玄弥!?」

 立っていたのは玄弥だった。

「今の話……全部聞きました」

 震える拳を握りしめる。

「兄ちゃんは……どうなるんですか!?」

「玄弥、落ち着いて」

「落ち着けるわけないでしょう!」

 玄弥の目には涙が浮かんでいた。

「兄ちゃん、斗和さんのこと、あんなに大事にしてるのに……!」

「……」

「自分が死ぬかもしれないことも言わないで、斗和さんまでいなくなったら……兄ちゃんはどうなるんですか!」

 斗和は何も言えなかった。

 いつもなら笑って誤魔化せる。

 けれど今だけは――玄弥の言葉が、胸の奥に突き刺さった。
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