第7章 想い…
結局――。
「……分かったァ。ただし、無理だと思ったら即やめろ」
「やった!」
斗和が実弥を説得しきった。
「お前、病み上がりなんだからなァ」
「分かってるって」
「……本当に分かってんのかァ?」
実弥は呆れながらも、木刀を構えた。
「じゃあ始めるぞォ」
その瞬間――空気が変わった。
「…………!」
隊士たちの表情が一斉に強張る。
実弥が踏み込んだ。
ドンッ!!
凄まじい速度で木刀が振り下ろされる。
しかし斗和は紙一重で躱し、その勢いを利用して身体を滑らせる。
「酒の呼吸――」
ふらり。
まるで酔って足元がおぼつかないような動き。
「……壱ノ型!」
次の瞬間、斗和和の木刀が実弥の脇を掠めた。
「チッ……相変わらず読めねェ動きしやがる!」
「そっちこそ!」
実弥が笑った。
「上等だァ!」
そこからは、もはや稽古というより実戦だった。
木刀がぶつかるたび、乾いた轟音が響く。
隊士たちは完全に固まっていた。
「……これ……稽古だよな?」
「俺には殺し合いにしか見えない……」
「いや、あれでも二人とも加減してるんじゃ……」
「嘘だろ……?」
炭治郎も目を丸くする。
「二人とも……すごい……!」
善逸は青ざめた。
「すごいじゃないよ! あんなの間に入ったら死ぬよ!?」
伊之助だけは興奮していた。
「俺も混ざるぞォ!!」
「やめろ伊之助!!」
全員から止められる。
そして最後。
ガキィン!!
互いの木刀がぶつかり、二人とも動きを止めた。
「……やっぱ、お前とやると楽しいわ」
斗和が笑う。
実弥も口元を僅かに上げた。
「……俺もだァ」
その瞬間。
隊士たちは一斉に思った。
――この二人、絶対に怒らせちゃいけない。
そして同時に、
――この二人を敵に回した鬼は、たぶん運が悪すぎる。
そんな共通認識が、静かに隊士たちの間へ広がっていった。