第7章 想い…
――それから、半日。
懸命な処置の甲斐あって、斗和はどうにか一命を取り留めた。
だが、目を覚まさない。
布団の脇に座り込んだ実弥は、ずっと斗和の手を握っていた。
「……斗和」
何度呼んでも、返事はない。
あの時、「別れるぞ」と言った自分の言葉が、何度も頭の中を巡る。
「……俺が、余計なこと言ったせいで……」
実弥は唇を噛み、俯いた。
「悪かった……」
その声は震えていた。
「俺ァ、お前まで失うのが怖かっただけだ。玄弥のことだって……お前のことだって、大事だから……」
拳を握る。
「なのに……俺は……」
ぽたり。
斗和の手の甲に、一滴の涙が落ちた。
滅多に泣かない実弥の頬を、次々と涙が伝っていく。
「……悪かった、斗和。別れるなんて言って……本当に悪かった……」
その時。
「……さね、み……?」
「――ッ!」
微かな声。
実弥が勢いよく顔を上げる。
斗和がゆっくりと瞼を開いていた。
「……斗和……!」
実弥は握っていた手を、今度は両手で包み込む。
「よかった……!」
涙を拭うこともせず、実弥は何度も首を振った。
「死ぬかと思った……。お前が目ぇ覚まさねェから……俺ァ……」
「……泣いてんの?」
「うるせェ……」
そう言いながらも、涙は止まらない。
「……ごめん。俺が悪かった。だから……もう二度と、あんなこと言わねェ」
斗和は弱々しく笑った。
「……じゃあ、仲直り……?」
実弥はしばらく黙り込み――
「……あァ」
震える声で答え、斗和の手を額に押し当てた。
「頼むから……もう俺を置いてくなァ……」
その声は、泣き声に近かった。