第19章 強盗(1)
「覚えてるかな…松永淳くん。ポアロにバイトできていて、零を狙っていた…。」
「覚えてるよ。」
きっと、なぜ亡くなったのか知りたいんだな。今日、目の前で人が亡くなって思い出したんだろう。
「彼の最後は…、独りぼっちだったの…?」
「……?」
そうか…。銀行の防犯カメラの映像をさっき最後まで見たが、は去るときも撃たれた人を見ていた。
蘇生を試みることができなかった事だけではなく、誰も傍にいてあげられずにこの世を去ったことにも心を傷めたのか…。
「僕は、彼の最後を見ていたわけではないからはっきりしたことは分からない。ただ、彼は…裏切り者として仲間にやられている。状況から考えると、その可能性が高い。」
「……そっか…、そうなんだ……。
ありがとう、教えてくれて。
今日撃たれた人、ニュースで亡くなったって書いてあった。」
「あぁ。心臓を撃たれている。があの場で何をしていても、助かる見込みはなかったよ。」
「うん…それは私も、あのときに感じた…。何もできないって。ただ、驚いて体が動かなくて、すぐに駆け寄ってあげたかったのに…できなかった。
すぐに行けば、最後の瞬間に声をかけることができたかも知れないし、一言でも言葉を聞いてあげられたかも知れないのに…って思えて……」
「…。大怪我をした人間が痛みに苦しみながら死の間際で冷静に話すことは難しい。
家族や恋人、仲間に向けたセリフを残すのはアニメや小説の中の話だ。
残せるとしたら、痛い・苦しい・助けてくれ・死にたくない・寒い・怖い、そういった苦痛の言葉になるだろう。」
「うん…その苦しみの言葉だけでも、聞いてあげたかった。
"苦しいね、痛いよね"って、返事はできるから。目の前に、いたのに…。」
優しすぎる………
そう言うと、または嫌がるだろう。