【ごちゃまぜ】SHORT STORY【ヒロアカ】【鬼滅の刃】
第2章 8月のカタストロフィ【 煉獄杏寿郎 】
***
三回目。
四回目。
五回目。
十回目。
百回目。
……もう、何度繰り返したのかすら分からない。
学校へ行かない。
煉獄先生を外へ出さない。
朝一番で遠くへ逃げる。
人の多い場所へ行く。
警察に駆け込む。
一日中、二人で建物の中に閉じこもる。
できることは、全部やった。
考えつく悪あがきは、すべて試した。
けれど――何をしても。
どこへ逃げても。
必ず、不条理が二人を襲う。
暴走する大型車。
突如として崩れてくる看板や建築資材。
晴天の空から落ちる落雷。
正気を失った暴漢の刃物。
まるで世界そのものが、煉獄の命を奪おうとしているかのように。
どんなに抗っても。
どれだけ逃げても。
運命という名の結末だけは、絶対に変わらない。
――先生が、死ぬ。
「どうして……っ」
何十回。
何百回。
視界が血の赤に染まるたび、の心は削られ、磨り減っていった。
「どうして先生なの……!?」
ポロポロと涙がこぼれ落ち、足元のアスファルトにしみを作っていく。
「私が何をしたって……っ」
また、あの温かい手を失う。
「どうすれば……どうしたら、先生を助けられるの……!?」
絶望の暗闇の中、いくら手を伸ばしても。
救いとなる答えは、どこにも落ちていなかった。
***
何百回目かの8月8日。
赤く焼け焦げるような、夕暮れ時。
二人は、あの始まりの交差点に立っていた。
赤信号。
嫌になるほど見慣れた街並み。
頭を狂わせそうな蝉時雨。
には、手に取るように分かっていた。
もうすぐやって来る。
あの、終わりを告げる瞬間が。
遠くの曲がり角から、爆音のようなエンジン音が響き渡る。
ブレーキの壊れた大型トラック。
狂ったような速度。
吸い寄せられるような進路。
すべてが――あの日、あの時と完全に同じ。
は、そっと煉獄の横顔を見上げた。
自分を庇うため、今まさに一歩踏み出そうとしている大好きな人。
(ああ……そうか)
無数の死を見届け続けたの頭の中に『一つの答え』が舞い降りた。