【ごちゃまぜ】SHORT STORY【ヒロアカ】【鬼滅の刃】
第2章 8月のカタストロフィ【 煉獄杏寿郎 】
「……っ、あ……」
声が出ない。
白昼の交差点に満ちる、逃げ惑う人々の叫び声と怒号。
だが、の耳には何も届かない。
車体の下から緩やかに広がっていく、黒ずんだ赤い液体。
粘り気のある鉄の臭いが、むせるような真夏の熱気と混ざり合って鼻腔を突く。
「せんせ……」
石のように固まった足は一歩も動かない。
指先から血の気が引き、ガタガタと全身が震える。
鮮血に染まり、ぴくりとも動かなくなった大好きな人の背中。
さっきまで温かく自分を包んでくれていた手が、冷たいアスファルトの上に力なく投げ出されている。
視界が歪み、喉の奥から絞り出すような絶叫が破裂した。
「せんせっ……煉獄先生――――!!」
その瞬間。
視界が一面、真っ白に染まった。