【ブルーロック】GAGAMARU symphony
第5章 噂の野生児
「俺と透?」
我牙丸くんが二人に訊き返すと、二人はコクコクと首を振っている。
我牙丸くんは「あー」と斜め上を見上げて考えてから、私を見た。
「透、俺らって何?」
いや、こっちに訊くなし!
こっちも知らんし!
でも、これは私が答えなきゃまたあらぬ方向に誤解が生まれそうで。
「えーと…隣の席の…クラスメイト?…です」
そう言いながら(どっちがどっちかわからないけど)佐藤くんと鈴木くんを窺い見る。
二人は…眉を寄せてめっちゃ訝しげに私を見てる!
いや、わかるよ!
だって事実だけ見ても完全にクラスメイトの距離感じゃないもん!
でもさ、本っ当ーに!
それ以上でも以下でもないんだよ!
我牙丸くんが勝手に距離詰めてきてるだけなんだよ!
そこだけは是が非でも理解していただきたい。
だから、私は困ったような顔で二人を見た。
三人で見つめ合い、我牙丸くんだけ首を傾げてる。
そんな構図がしばらく続き、佐藤くんだか鈴木くんだかが大きくため息をついて、
「まぁ、ガガだもんな…」
と呟くと、もう片方も
「そうだな、ガガだもんな…」
とそれに応じた。
やはり二人は同じ部活で苦楽を共にしているだけあって我牙丸くんへの理解が深い!
我牙丸くんだからって理由だけでまかり通ってしまうらしい。
「はい、我牙丸くんなんで…」
私もそこに乗っかってみた。
そして、二人がどちらともなく笑うから私も「ハハハ」って笑った。
話についてこれない我牙丸くんだけが未だに首を捻っているけど、誰も我牙丸くんへの説明はしなかった。
理由はたぶん、我牙丸くんだから。
「青木さん、なんか俺らの勘違いだったみたいでごめん」
「あ、いえ…」
「変な噂流れてるから俺らでちゃんと否定しておくから」
「あ、そうだと助かります…」
なんだかんだで佐藤くんも鈴木くんもいい人のようだ(どっちがどっちだか未だにわからないけど)。
これでようやく安心して帰路につけるというものだ。
我牙丸くんも帰ってきたし、帰りの挨拶も出来そう。
「じゃあ、私、帰ります。我牙丸くん、また来週…」
そう言っていつもみたいに振るでもない手の平を我牙丸くんに向けた時だった。
我牙丸くんが上げた私の手首をガッと掴んできた。
我牙丸くんの大きな手は私の手首を完全に回っていて、それは何だが手錠のようだった。