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【ブルーロック】GAGAMARU symphony

第5章 噂の野生児


「透、今日なんか用事ある?」

「あー…」

いや、ある…わけない。
何かなかったかと一生懸命考えたけど、何にもない。
私が考えている間、我牙丸くんのどんぐり眼に見つめられ、今はそれプラス佐藤くんと鈴木くんの視線まで注がれている。

「…何もない…けど…?」

言いたくないけど答えなきゃ気まずい空気に結局はボソボソとでも言うしかなかった。
それを聞いた我牙丸くんの表情がちょっとだけ明るくなって、

「うっし、じゃあ行くぞ」

と言って、私の手首を掴んでない方の手で私のバッグと自分のバッグを持つと突然のことで足が動かない私を引きずるように歩き始めた。
引きずられながら佐藤くんと鈴木くんの顔を見ると、二人とも目と口をパックリ開いて唖然とした顔。
たぶん私も同じ顔してる。
で、教卓にぶつかりそうになってようやく自分の足を動かし始めた。
そうなると我牙丸くんもズンズンと進んでいき、あっと言う間に廊下に出ていた。
なおもそのままのスピード出歩こうとするので、

「我牙丸くん、我牙丸くん!もう少しゆっくり!転ぶから!」

やっと声を上げることができた。
我牙丸くんも言われて気づいたようで、

「おー、すまん」

と言って速度を落としてくれた。
それでも、いつもみたいに私の半歩後ろではなくて半歩前を歩き、未だに離してもらえない手首を引きながら歩いていた。

ちょっと待って。
廊下から階段、階段から昇降口と昼休みよりは少ないとはいえ学年問わず人がいるのに、手首掴まれて歩いていれば端から見たら一瞬手を繋いでるように見えない?
ただでさえ一週間かけて「青木が我牙丸を舎弟にした」なんて噂されて、さっき佐藤くんと鈴木くんがそれを訂正しておいてくれるって言ってくれたのに、今度はどんな噂に書き換えられるかわかったもんじゃない。

昇降口まで来て、靴を履き替えるのに一度手首が離された。

よかった、解放された…

安心して靴を履き替えて、先に靴を履いた我牙丸くんのところに行く。

てか、我牙丸くん、靴の踵、履き潰してるじゃん…
ちゃんと履けばいいのに…

そんなこと思いながら我牙丸くんの靴を見てたら、また我牙丸くんの大きな手がにゅっと伸びてきた。

え…、また手首掴むの…?

「我牙丸くん!私、掴まなくても逃げないよ?」

たぶん逃げたところで我牙丸くんからは逃げ切れる気がしない。
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