【ブルーロック】GAGAMARU symphony
第5章 噂の野生児
「あのー、まず大前提なんですけど…うち、サラリーマンの一般家庭ですけど」
どこから話せばいいかわからなくてそんなところから話すしかなかった。
「え?マジで?」
「はい…」
「組のお嬢じゃないの?」
「違います…」
「カタギと関わらないのようにいつも背中向けて音楽聴いてるんじゃないの?」
「えっと…違います」
「マジかー、良かったぁ!」
二人の肩から一気に力が抜けた。
そして、ヤクザ疑惑がなくなったら途端、
「え、じゃあ今週のあれはなんなの?」
と、若干距離縮めて質問される。
え、ちょっ、近っ!
思わず少し仰け反ってしまう。
「あれって何ですか?」
「月曜日に我牙丸が青木さんのこと転ばせた後から青木さんのこと怯えた目で見てたのは?」
「あれは、私が知らずに我牙丸くんの地雷を踏んだって言いますか…」
「昼休みに呼び出したのは?」
「あれは、我牙丸くんに返すものと渡すものがあって…」
「次の日から青木さんの登校待ってるのは?」
「なんか、私の力が弱いから我牙丸くんが加重トレーニングするためらしいです…あ、これ、頼んでません」
「昼休み、青木さんの後追いかけて居なくなるのは?」
「私が外でお弁当食べてるところに来てます…あ、これも、呼んでません」
一通りの疑問をぶつけて、一応何も無いことはわかってくれたのか二人は口を閉じて目を見合わせた。
その表情はまだ不可解と言ったような顔で。
いや、わかるよ、その気持ち。
私だってそんな顔したいところだもん。
で、次に二人が口にする言葉も想像つく。
「え、じゃあ、青木さんってガガの何なの?」
ほら来た。
そんなの私も知らないし、私も知りたい。
いや、ごめん、やっぱ知りたくない。
でも、訊かれたことになんて答えたものか、「あー…」と口籠っている時だった。
「おーい、佐藤ー、鈴木ー」
先生の用事が済んだであろう我牙丸くんが教室に戻ってきた。
「お前ら、そんな透のこと囲んだら透怖がるだろ」
「あ、いや、俺ら、そんなつもりはなくて」
「ちょっと噂の真相が気になって」
噂を知らない我牙丸くんは不思議そうな顔をしている。
我牙丸くんもまさか噂の中で私の舎弟にされているとは思うまい。
「ガガと青木さんってどんな関係なのかなって訊いてただけで」
また話が戻された。