【ブルーロック】GAGAMARU symphony
第5章 噂の野生児
犬走りに着くと私は校舎の壁に身体を預けて座り目を閉じて天を仰いだ。
落ち着こう。
そう、一旦落ち着こう。
少し大きめに息を吸う。
湿った土と青々とした草の匂いがした。
何だか落ち着く。
もっと落ち着きたくて今度は胸いっぱい吸い込んだ。
もしかしたら気のせいかもしれないじゃん。
一度クラスを離れればそんな気もしてきた。
だって、昨日まで普通だったのに一日でそんなにガラリと何かが変わるわけがない。
きっと気のせい。
今まで周りを見ていなかった私が我牙丸くんなんて観察しだすから、今まで気づかなかった周りの視線まで拾っちゃうんだ。
きっとそうだよ。
また背中を向ければわからなくなるような、そんなものに違いない。
そう思ったら少しずつ気持ちが楽になっていった。
もう一度深呼吸をする。
そしたら、隣からドサッと何かが落ちたような音と風圧が来て、土と草のものじゃない嗅ぎ慣れた匂いと気配がした。
これは全くもって本意ではないのだけれど、目を開かなくても隣に何がいるかがわかってしまう。
「透、寝てるかー?」
ほらやっぱり。
私は渋々目を開くとどんぐり眼がこちらを覗いていた。
なんで今日もここに来たんだろう。
「…今日は我牙丸くんの分のお弁当はないよ?」
「おー、俺はにぎり飯食う」
「いや、そういう意味じゃなくて…なんで今日も来たの?今日は呼んでないよね?」
「お?ここに来るのは透の許可制か?」
「そういうわけじゃないけど…私、前、一人がいいって言ったよね?」
「あー」
我牙丸くんは、そんなこともあったなーくらいの温度で声を上げると少しお尻を動かして足一本分くらい離れた。
いやいやいや、それっぽっち離れたところでまだまだ余裕で私のパーソナルスペース内なんだけど!?
何と言えば我牙丸くんが引いてくれるのかを考えている私の横で、もうこの件は事が済んだと思っている我牙丸くんは肩からかけてたスポーツバッグに片手を突っ込んでゴソゴソと探ってから銀色のハンドボールみたいなものを鷲掴みで取り出した。
見慣れない物に、ん?と目が行ってしまう。
そんな視線にも気付かずに我牙丸くんは銀色をむしると今度は黒色の球体が出てきた。
それがとんでもなく大きなおにぎりであると認識したのは我牙丸くんが大きな口を開けてかぶりつこうとした瞬間だった。
