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【ブルーロック】GAGAMARU symphony

第5章 噂の野生児


そうして、否応なく我牙丸くんと教室に向かわなければならなくなり、昨日と同じく私の半歩後ろを我牙丸くんがゆっくり付いてくる。
特に何を話すわけでもないのに、ただ付いてくる。
そしてやっぱり我牙丸くんは周りの人から見られている。
いや、違う。
今日は視線を感じる。
まさか、私も見られてる…?
いや、そんなのは気にしすぎに違いない。
我牙丸くんに注がれる視線の間に私がいるだけ。
きっとそうに違いない。
しかし、それを確かめる術はない。
視線の出処を辿るなんて真似はできない。
それでもし誰かと目が合ってしまったらと考えるとそんなことはできない。
私は視線を少し下げて、三歩先の床だけ見て教室まで歩いた。

教室に入ったらそれはもっと明らかな空気として感じられた。
私と我牙丸くんが教室に入ると今まで何か話をしていた人たちがそれを止めてでもあからさまにこちらを見てきた。
そんなに我牙丸くんを見るならクラスメイトなんだから挨拶でもすればいいのに、誰も我牙丸くんに挨拶する人はいなかった。
もちろん私にも。
それどころかしばらく視線を注いでからヒソヒソと何かを話をしている。

え…何?
何なの、この空気…?
昨日まで普通だったじゃん。
一日で何があったの?

わからないし、私には知る術がない。
我牙丸くんは何も気づいていないようで席に着くといつも通り机に身体を預けて寝そべった。
私も何も気づいていないふりをして、微かに震える指でイヤホンを取り出して耳に入れた。
けれど、音楽を聴く気持ちにもなれなくてただ耳に入れただけ。
そして、ノイズキャンセリングだけを効かせたイヤホンで誰が何を話しているかという情報だけをシャットアウトした。

何かを気づいていると周りに気づかれてはダメだ。
いつも通りを、普通を装わなければ。
そうじゃないといつも通りが、普通が、今までの日常が失われてしまうような気がした。

だから私は授業以外の時間、クラスに背を向けて必死に見えないふり、聞こえないふり、気づかないふりを決め込んだ。

そして、四時限が終わった直後、すぐにいつもの犬走りへと急いだ。
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