【ブルーロック】GAGAMARU symphony
第5章 噂の野生児
次の日もいつもと変わらず登校した。
今日は返さなきゃいけないCDもないし、渡さなきゃいけないお弁当もない。
ようやく戻ってきた日常に身も心も身軽だった。
今日から(我牙丸くんに挨拶くらいはするだろうけど)今まで通りに一人で過ごせる。
ここ最近何かと心の中が騒がしかったから少しずつクールダウンしよう。
そう思っていた。
なのに、校門から昇降口までの一本道の途中で身軽だったはずの身体に記憶に新しい重みがのしかかってきた。
「ゔ……」
踏み止まって耐える私の耳の横でもう聞き慣れた声。
「透、おはよう」
「……」
もう言葉にならない。
なんで昨日の今日で同じことをやってくるんだろう?
でも、昨日は一瞬で崩れ落ちていたけれど、今日はなんとか堪えている。
昨日のように全体重は預けてないらしい。
けど、膝が震えるほど重い…!
「…我牙丸くん…重ぃ…」
ようやくそう訴えたけど、
「透は力がないからトレーニングだ」
とか意味不明な答えが返ってきた。
自分で非力なことは重々承知してるけど、だからって我牙丸加重トレーニングをお願いした覚えはない。
なのに背後からは
「よし、このまま三歩、歩けー」
なんてスパルタ指示が聞こえる。
三歩歩けばこれは終わるんだろうか?
やらないって選択肢はないんだろうか?
そんな押し問答する時間すら惜しいほど私はこの加重から逃れたかった。
「……っ」
一歩
「…ぅ…」
二歩
「…くぅ…」
三歩
やった!
三歩、歩けた…!
たった三歩なのに達成感がハンパない。
そして、約束通り肩にかかっていた重さは消えた。
「透、やるなー」
やらせたのは誰だよ、とツッコんでやりたい。
いや、ツッコんでやろうと思ってそっちを振り返った。
そしたらそれよりも気になることができてしまった。
「我牙丸くん、今日、朝練は?」
振り返った先にいた我牙丸くんは制服姿だった。
昨日はジャージだったのに。
「そろそろ透来る頃だと思って切り上げた」
そこまでしてこの加重トレーニングを実行したかったんだろうか?
いや、朝練を早めに切り上げてまでやること?
てか、朝練終わらせてるってことはこれから我牙丸くんと教室まで行く流れになるじゃん。
もう我牙丸くんとはあまり一緒に歩きたくないんだけどな…