【ブルーロック】GAGAMARU symphony
第2章 隣の野生児
お弁当なのに食堂の席を占領するのも何だか申し訳なくて、でもあとお弁当が食べられそうな場所も思いつかなくて少し校舎内をウロウロしたあとで外に出た。
上靴だから土の方に下りるわけにもいかず、校舎をぐるりと取り囲む犬走りを歩く。
教室棟ではなく理科室や音楽室がある特別教室棟の方は人の気配もなくて、草木が鬱蒼としていた。
ここならお弁当を食べていても誰かに見つかることはないと思ってコンクリートの犬走りに座り込む。
天気は良いけど、近くに生えている木々が良い具合に太陽を遮ってくれる。
意外に穴場かもしれない。
これからは教室に居づらい時はここに来よう。
そう思いながらお弁当を食べる。
やっぱり一人はいい。
思いっきり息が吸える。
お弁当も美味しい。
来る途中で買ったデザート代わりのいちごミルクも美味しい。
また教室に戻ったら我牙丸くんがこっちを見てくるかもそれないけど、午後も耐えられそうな気がしてきた。
食べ終わって一息ついていると予鈴が鳴った。
今日はここに辿り着くまでに時間を使ってしまったからそんなにいることはできなかったけど、今度からは真っ直ぐここに来ればいい。
そしたらもっとゆっくりできる。
私はお弁当やいちごミルクのパックを持って立ち上がると教室に戻った。
五時限目を告げる本鈴が鳴って、慌てて席について教科書を出す。
視界の端で我牙丸くんがこっちを見ているようだったけど、すぐに先生が教室に入って来たから気にならなかった。
五時限が終わった後も昼休みに行けなかったトイレに行ったので席にはいなかったから我牙丸くんの視線に晒されることもなかった。
そして、六時限が終われば、もう大丈夫。
ホームルームを終えて、荷物を持って立ち上がる。
「透」
隣の席から声が聞こえてそちらを見る。
一日中机にくっついている我牙丸くんが今は身体を起こしている。
我牙丸くんのどんぐり眼を直接見るのは朝の挨拶ぶりかもしれない。
「えっと…我牙丸くん、また、ね…」
今日は私から言ってみた。
「あ、うん、また」
って呆気なく返ってきたから私は心置きなくその場を後にできた。
家まで歩いて帰る間、今日一日を振り返る。
長かったような、短かったような。
でも、なんで我牙丸くんは今日一日こっちを見ていたんだろう?
新学期始まって三週間も経ってる。
特に何かしたわけでもないのに。
