【ブルーロック】GAGAMARU symphony
第2章 隣の野生児

その日、午前中の業間の休み時間、我牙丸くんは机に身体を横たえたままずっとこっちを見ていた。
一時限の休み時間になった途端、朝のように頭がゴロリと転がり顔がこっちを向いた。
私は教科書とかを片付けていたから、そっちを見てはいなかったけれど視界の端であのどんぐり眼の視線を感じた。
でも、何も声をかけてこない。
え、何?
私が気づくの待ち?
いや、我牙丸くんも外見てるだけかもしれないし、そっちを見て我牙丸くんのどんぐり眼と見つめ合う勇気はない。
私はイヤホンを我牙丸くんがいる右耳にだけ入れて、心持ち我牙丸くんの方に背中を向けるようにして私も窓の外を見た。
今日も外は晴天で気持ちがいい。
ベランダの柵にはスズメが二羽止まっていて、一羽がチョンと近づけばもう一羽はチョンと距離を取る。
それが何だか可愛くて少しだけ口元が緩んだ。
声になんて出してないのにスズメたちは私に見られていることに気づいたのか、どちらともなくパッと飛び立って二羽ともどこかに飛んでいった。
それを少し残念に思いつつ、そろそろ次の授業の準備をしようと机に向き直ったけど、一瞬、動きが止まってしまう。
だって視界の端のどんぐり眼は数分前と変わらずこっちを見てる。
そちらを見なくてもわかる。
無表情なその顔も、無感情なその瞳も、視界の端で捉えるその姿は正直、若干ホラーである。
どこかで聞いたことがある。
幽霊が見える人は見えないふりをして絶対に目を合わせないんだとか。
目が合ったら憑いてきてしまうから、と。
いや、我牙丸くんは幽霊ではないけれど、でもなんか目を合わせちゃいけない気がした。
二時限目のチャイムが鳴ったら、またゴロリと頭は転がって顔は黒板の方に向いていった。
ようやく自由に息ができるようになって、小さく息をついた。
二時限目が終わった瞬間に我牙丸くんはまた顔だけこっちを向けた。
でも、やっぱり何も言ってこない。
私は目を合わせないように気をつけながらトイレに逃げた。
そのまま休み時間を潰すようにぶらぶら歩いて遠回りをして教室に戻った。
我牙丸くんはさっき席を立った時のままの姿勢で、顔はこっちに向いてるけど目は閉じていた。
寝てるのかな。
チラリとだけ顔を見る。
意外に整った顔立ちで何ならちょっと可愛くも見える。
そんな感じで見ていたらいきなりバチリと目が開いて、私はあからさまに顔をそらした。
