第7章 間章『第三者の観測』前編
「…………」
「…………」
「…………」
──沈黙。
湯川は、
何事もなかったかのように机へ視線を戻した。
「さて」
「…………」
「話の続きを──」
「ふふっ」
「……内海君」
「すみません」
内海は口元を手で隠している。
「何ですか?」
「いえ、別に」
「なら笑う必要はないだろう」
「そうなんですけど」
また口元が緩む。
「ふふ」
「内海」
草薙が呆れたように呼ぶ。
「だって草薙さん」
「まあ、気持ちは分かるけどな」
「でしょう?」
「何の話だ?」
二人が顔を見合わせる。
「…………」
「…………」
「何だ?」
内海がとうとう耐えきれなくなったように聞いた。
「湯川先生」
「何だ?」
「星宮さんって、彼女なんですか?」
「違う」
即答。
「…………」
内海の眉が上がる。
「違うんですか?」
「ああ」
「じゃあ」
一拍おいて尋ねる。
「好きな人?」
「何故そうなる」
「ふふっ」
「内海君」
「すみません。だって」
内海はもう完全に笑っている。
「何がおかしい?」
「いえ。湯川先生が女性のコーヒーに入れる砂糖の数を覚えてるんだなって」
「二つ程度なら覚えられる」
「そういう意味じゃないです」
「どういう意味だ?」
「ほらぁ」
「何がだ」
「そこですよ」
「だから何なんだ?」
内海が草薙を見る。
「草薙さん」
「ああ」
「これは重症ですね」
「だな」
「何の話をしている」
少し離れたところで、
栗林が小さく息を吐いた。