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【G@lileo】音色の方程式

第7章 間章『第三者の観測』前編




 湯川は一瞬だけ時計を見た。

 午後三時十二分。


 「別に待つわけじゃない」

 「へえ」

 「彼女が勝手に来るだけだ」

 「へえ」

 「何だ?」

 「いや?」


 内海がまた口元を押さえる。


 「……ふふ」

 「内海君」

 「だって」


 笑いを堪えながら内海は言った。


 「今、時計見ましたよね?」

 「…………」

 「見ましたよね?」

 「時間を確認しただけだ」

 「はい」

 「何だ、その顔は」

 「別に?」

 「…………」


 湯川は理解できないものを見るような顔で三人を見た。


 「……実にくだらない」


 そう言って資料へ視線を戻す。

 その横で内海はもう一度時計を見た。

 午後三時十三分。


 「……あと一時間十七分ですね」

 「内海君」

 「はい」

 「帰ってもらって構わないんだが」

 「嫌です」

 「何故?」

 「四時半までいます」

 「事件はどうした」

 「もちろん相談します」

 「なら早く始めろ」

 「はい」


 返事をしながら内海は思った。

 事件の相談も、もちろん大切だ。

 けれど今日ばかりは、

 四時半にもう一度開くであろう、
 この研究室の扉の方がほんの少しだけ、
 気になっていた。





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