第7章 間章『第三者の観測』前編
「で、星宮さんは何しに?」
「フルートの練習です」
「フルート?」
内海の表情がぱっと変わる。
「いいね。私、楽器全然できないから羨ましい」
「いやいや、全然です」
「どこで練習するの?」
「この近くで。いつも外で吹いてます」
「へえ」
「先生には、たまに聴かれてて」
「たまに?」
内海が湯川を見る。
「観察しているだけだ」
「またそれ」
星宮が呆れる。
「フルート見てもらってるでしょ」
「観察しているだけだ」
「相談も聞いてもらってるし」
「意見を述べているだけだ」
「雨の日、研究室にも入れてくれたし」
「濡れた楽器を放置する方が問題だ」
「ほら」
「何が、ほらなんだ」
「お世話になってる」
「…………」
内海の口元が少しだけ上がる。
「ふふ」
「内海君」
「すみません」
「何がおかしい?」
「いえ、なんか」
内海が星宮を見る。
「仲いいんだなって」
「まあ……」
星宮は少し考えて、
「友達なので」
「友達」
「はい」
「へえ」
「内海君」
「何ですか?」
「その言い方は何だ」
「別に?」
「…………」