第7章 間章『第三者の観測』前編
「お前、言われてるぞ」
「何をだ?」
「さあな」
「意味が分からない」
「でしょうね」
女子学生も笑う。
「それで先生、こちらは?」
「ああ。警視庁の──」
「どうも」
湯川が紹介するより先に、
草薙が軽く頭を下げた。
「草薙です」
「あ、初めまして」
「こっちは後輩の内海」
「内海薫です。よろしくね」
内海が柔らかく笑う。
「あ、星宮です。よろしくお願いします」
「星宮さん」
「はい」
「学生さんだよね?」
「はい。経済学部です」
「経済学部?」
内海が少し目を丸くする。
「じゃあ湯川先生とは学部違うんだ」
「そうなんです。全然違います」
「へえ」
内海の視線が星宮から湯川へ移る。
「なのに仲いいんですね」
「え」
「内海君」
湯川が口を挟む。
「何ですか?」
「初対面の相手に余計なことを聞くな」
「まだ何も聞いてませんよ?」
「聞こうとしていただろう」
「ふふ」
星宮が思わず笑う。
「先生、こういう人なんです」
「知ってます」
「知ってるんですか?」
「まあ、それなりに」
「それは大変ですね」
「本当に」
「内海君」
「はい?」
「君は僕を何だと思ってるんだ」
「湯川先生です」
「回答になっていない」
「ふふ」
星宮がまた笑う。
草薙はそんな三人を横から眺めていた。