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【G@lileo】音色の方程式

第7章 間章『第三者の観測』前編




 「何だよ、火曜日って」

 「知らない」

 「知らないって顔じゃないだろ」

 「君は事件の相談に来たんじゃないのか?」

 「来たけど」

 「なら続けろ」

 「はいはい」

 「何だ、その返事は」


 草薙が資料へ視線を戻す。

 その隣で内海は、
 湯川と栗林を交互に見ていた。


 「…………」

 「何だ、内海君」

 「いえ」

 「何か言いたそうだな」

 「別に?」

 「……君まで草薙みたいなことを言うな」

 「おい、どういう意味だよ」

 「そのままの意味だ」

 「相変わらずだな、お前」

 「何がだ?」

 「そういうところ」

 「意味が分からない」

 「分からなくていいよ」


 午後二時四十六分。

 湯川がもう一度時計を見る。


 「…………」


 今度は草薙もつられて見る。


 「もうすぐ三時だけど」

 「だから何だ?」

 「いや?」


 廊下から足音が聞こえた。


 「…………」


 湯川の視線が扉へ向く。


 ──コンコン。


 「失礼します」


 扉が開いた。


 「先生」


 フルートケースを肩に掛けた女子学生が、
 顔を覗かせる。


 「こんにちは」

 「ああ」


 湯川が時計を見る。

 時刻は午後二時四十七分。


 「七分遅い」

 「授業が伸びたんです」

 「火曜日は二時四十分頃と言っていただろう」

 「七分くらい誤差です」

 「君はその言葉を随分便利に使うな」

 「先生に教えてもらったんですよ」

 「僕はそんな使い方を教えた覚えはない」

 「…………」


 草薙がゆっくりと栗林を見る。


 「火曜日って、これか」


 小さな声に、
 栗林は何も答えず少しだけ肩を竦めた。


 「何の話だ?」


 湯川が草薙を見る。


 「いや、別に」

 「そうか」


 そこで、
 女子学生が研究室にいる二人へ視線を向けた。


 「あ……」


 見覚えのない男女。

 どうやら、先生の知り合いらしい。


 「先生、お客さんですか?」

 「ああ」

 「珍しいですね」

 「僕に客が来ることがそんなに珍しいか?」

 「先生なので」

 「どういう意味だ?」

 「そのままの意味です」

 「…………」


 草薙が小さく笑う。





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