第6章 『変数る』
その夜。
ベッドに寝転がり、携帯を見る。
演奏会の連絡、部活のグループ、
ゼミの課題、友人からのメッセージ。
ぼんやりと画面を眺めているうちに、
ふと、昼間の光景を思い出した。
女子学生に囲まれていた、湯川先生。
「…………」
別に普通だ。
先生なんだから、
学生と話すし、質問に答える。
それだけだ。
『理工学部のイケメン准教授!!』
「…………」
──確かに、人気なんだな。
知らなかった。
というより、
知識としては聞いていたけれど。
実際に見ると、
「…………」
なんか、嫌だった。
「…………え?」
勢いよく起き上がる。
今、何て思った?
嫌?
「いやいやいや」
違う、何が嫌なんだ。
別に、先生が誰と話していても関係ない。
友達。
そう、友達だ。
「…………」
再びベッドへ倒れ込む。
携帯で顔を隠した。
「……寝よ」
考えるのをやめた。