第5章 『識別る』
「そんな真剣に考えなくても」
「星宮君が質問したんだろう」
「そうですけど」
────数秒。
「知人」
「…………」
「が、最も妥当だろうな」
「知人」
「ああ」
「なんか距離ありますね」
「では、友人か?」
「先生と?」
「星宮君が嫌なら別にいい」
「嫌とは言ってないです!!」
反射的に答えた。
先生がこちらを見る。
「…………」
「…………」
……しまった。
「じゃあ、友人でいいんじゃないか」
「そんな適当な決め方あります?」
「君が嫌ではないと言った」
「先生は?」
「何がだ」
「私と友達で嫌じゃないんですか」
先生は、少しだけ考えた。
「嫌なら、これほど話していない」
「…………」
ずるい。
本人は絶対、そんなつもりで言っていない。
分かっている。
分かっているのに。
「……そうですか」
「ああ」
「じゃあ」
私はフルートを構えた。
「友達ってことで」
「……分かった」
「先生」
「何だ?」
「友達なら、もうちょっと愛想よくしてくださいね」
「それとこれとは別問題だ」
「ケチ」
音を出す。
先生は、いつものベンチへ座った。
私はフルートを吹く、先生は本を読む。
何も変わらない。
いつも通りの時間。
ただ、その日から私たちの関係には、
一つだけ名前がついた。