第5章 『識別る』
「で?」
「何」
「本当に彼氏じゃないなら、何なの?」
「何って……」
止まった。
何だろう、先生と私は。
先生、学生……
でも、講義を受けたことはない。
ゼミ生でもない。
学部すら違う。
たまたま、フルートを吹いていて。
その音が研究室まで届いて、
話すようになった。
「……知り合い?」
「疑問形じゃん」
「だって分かんないもん」
「友達?」
「先生だよ?」
「先生と学生でも友達にはなれるでしょ」
「…………」
友達。
なんとなく。
その言葉もしっくりこなかった。
「まあ、いいけど」
彼女が笑う。
「少なくとも、ただの知り合いには見えなかったよ」
「そうかな」
「うん」
私は答えられなかった。