第5章 『識別る』
数日後。
「ねえ」
「何?」
部活の休憩中。
同じフルートパートの子が、隣へ寄ってきた。
「この前のことなんだけど」
「…………」
嫌な予感がした。
「何?」
「あの湯川先生」
「やっぱりその話?」
「当たり前じゃん!!」
声を潜めながらも、目が完全に楽しんでいる。
「私まだ信じられないんだけど。あんた、いつから湯川先生と知り合いなの?」
「最近」
「最近!?」
「声」
「だって!!」
彼女がさらに顔を寄せてくる。
「理工の子に聞いたけど、湯川先生って学生と必要以上に馴れ合うタイプじゃないんでしょ?」
「そうなの?」
「なんで私の方が詳しいのよ!」
「知らないもん」
「しかもさ」
「何」
「あの日、練習終わるまでいたよね?」
「……いたね」
「待ってたよね?」
「資料読んでたよ」
「それを待ってたって言うんじゃないの?」
「たまたまじゃない?」
「本人に毒されすぎ!!」
思わず笑う。
「本当に何もないって」
「じゃあ」
彼女が、にやっと笑った。
「彼氏?」
「は!?」
盛大にむせた。