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【G@lileo】音色の方程式

第5章 『識別る』






 第十三研究室。
 午後二時四十三分。

 湯川は論文を読んでいた。
 窓は開いている。

 やがて、
 聞き慣れたフルートの音が研究室へ届き始めた。


 「…………」


 湯川は時計を見る。

 時刻は午後二時四十三分。
 前回より四分早い。

 もっとも、
 具体的な時刻を指定されていたわけではない。


 『木曜日、長めに吹きます』

 「…………」


 論文へ視線を戻す。


 数分後、ペンを持つ手が止まった。


 「この曲か」


 以前から何度か聞いている曲だった。

 今日は調子がいい。
 音の立ち上がりが安定している。

 テンポにも、大きな揺れはない。
 以前問題になっていたパッセージも、
 危なげなく通過した。


 「…………」


 再び論文を読む。


 一行、
 二行、
 三行。


 「…………」


 また、ペンが止まった。

 音を聞く。
 次のフレーズへ移る、僅かにテンポが揺れる。
 すぐに戻る。


 「…………」


 何故。
 逐一、気づく。

 湯川は眉を寄せた。

 そして、立ち上がり窓を閉めた。


 「集中しよう」


 誰に聞かせるわけでもなく呟いた。



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