第4章 『交差る』
「何が変なんだ?」
「何でもありません!!」
「今、明らかに僕を見ながら——」
「先生!!」
「何だ?」
「忘れてください」
「何故?」
「いいから!!」
もう吹こう。
余計なことを考えるからいけない。
今までだって、
先生が隣にいることなんて何とも思わなかった。
変なことを言われれば言い返して、
気にせずフルートを吹いていた。
それなのに——。
一度意識してしまっただけで、
さっきから妙に落ち着かない。
先生は何も変わっていない。
変わったのは、
多分——私の見方だけだ。
それがなんだか悔しくて。
振り払うように息を吸い、フルートへ吹き込んだ。