第3章 『誤差る』
──翌日。
私は経済学部棟の前で、友人と昼食を取っていた。
「だからさ、夏休み入る前に一社くらいインターン行っといた方がいいって」
「分かってるよ」
「絶対分かってない顔してる」
「分かってるってば」
「じゃあ何か調べた?」
「…………」
「ほら」
友人が呆れたように笑う。
私は紙パックのカフェオレにストローを刺した。
「だってまだ春だよ?」
「“まだ春”じゃなくて“もう春”でしょ。三回生なんだから」
「うっ」
痛いところを突かれる。
「ゼミの先輩も言ってたよ。早いところはもう動いてるって」
「……知ってる」
「だったらさ」
「分かってるって」
少しだけ強く言ってしまった。
友人が黙る。
「あ……ごめん」
「いや、こっちもごめん。別に急かしたいわけじゃないんだけど」
「うん」
──分かっている。
心配して言ってくれているのだ。
それくらい、でも。
「……何がしたいのか、分かんないんだよね」
「就職?」
「うん」
私は膝を抱えるようにして座った。
「経済学部入ったのも、別に将来やりたいことがあったからじゃないし」
「まあ、そういう人多いでしょ」
「そうなんだけど」
空を見上げる。
青い。
こういう日にフルートを吹くと気持ちがいい。
少し嫌になった。