• テキストサイズ

【G@lileo】音色の方程式

第2章 『観測る』




 ──翌日。

 水曜日の午後三時。


 第十三研究室にて、

 湯川は数式を書いていた。

 静かな研究室、紙をめくる音、キーボードをたたく音、時計の針が時を刻む音、

 ──いつも通りだった。


 「…………」


 ペンが止まる。
 湯川は窓の外を見た。

 ……何も聞こえない。
 数秒して、再び数式へ視線を戻す。

 さらに数分、


 「…………」


 また、手が止まった。


 窓を見る。


 当然、何も聞こえない。
 湯川は僅かに眉を寄せた。


 昨日は火曜日、今日は水曜日。

 彼女があの場所で練習をするのは、主に火曜日と木曜日。

 今日は来ない。

 そのことは分かっている。
 分かっているのに。

 妙に静かだった。


 「…………」


 湯川は立ち上がる。
 窓辺まで歩き、開け放たれていた窓に手を掛けた。
 そして、閉める。

 音が聞こえないのなら、開けておく必要はない。

 合理的な判断だった。

/ 72ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp