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【G@lileo】音色の方程式

第2章 『観測る』




 「先生」

 「何だ?」

 「フルートやってました?」

 「まさか」

 「ですよね」

 「楽器の問題じゃない。反復運動の学習だ」

 「……そういうものなんですか」

 「試してみればいい」


 先生の言われた通りに、少し遅いテンポで何度が吹いてみる。
 通ってまた少しテンポを上げる、また通ってさらに上げる。
 今度は少し危なかったけれど通った。


 「あ」


 思わず声が出た。


 「できた」

 「当然だ」

 「なんで先生が得意げなんですか」

 「予測通りの結果になっただけだ」

 「それを普通、得意げって言うんですよ」

 「そうか?」

 「そうです」


 笑いながら、もう一度同じ個所を吹く。
 今度も通った。

 さっきまで、何度やっても引っかかっていたのに。


 「……すごい」

 「別にすごくはない」

 「でも、先生のおかげですよ」

 「僕は方法を提示しただけだ。実際に動作を修正したのは星宮君だろう」


 また、そういうことを平然と言う。

 褒められた訳ではない。

 ただ、事実を言っただけなのだろう。

 でも、不思議と少し嬉しかった。


 「ありがとうございます」


 私が言うと、湯川先生は僅かに首を傾げた。


 「礼を言われるようなことか?」

 「言われた側が決めることじゃないです」

 「そういうものか」

 「そういうものです」


 ──本当に、変な人だ。

 私はそう思いながら、もう一度フルートを構えた。

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