第3章 3
ある夜の少し遅い時間、アパートの部屋で過ごしていると、突然ドアがドンドンと叩かれた。
玄関に出ると、水色の制服を着た女性が切羽詰まった表情で言った。
「すみません、隣に住む女性のヘルパーなんですが。さっき到着したら、女性がソファから落ちてしまっていて。持ち上げるのを手伝っていただけませんか?」
「あっはい、もちろんです!」
かなり驚いたものの、急いでヘルパーさんについていき部屋に入る。
テレビの大音量が流れたところに、ふくよかな90代の高齢女性が申し訳なさそうに床に座っていた。
「ごめんなさいねえ、恥ずかしいわ。ちょっと滑っちゃって」
「大丈夫ですか、今起こしましょうね」
こういう手助けの経験はなかったあなただったが、二人で懸命に持ち上げようとした。
だが体格のよさもあり、普通体型の女性のあなた達には難しかった。
とっさに隣人のエナードのことを思い出し、彼を呼びに行こうとする。
斜め向かいに住んでいる彼は、ほどなくして玄関へ出てきた。
「すみません、エナードさん。こういうことがあって、一緒に起こしてくれませんかね?」
あなたがお願いをすると、彼も「わかりました」とすぐに来てくれた。
一緒に高齢女性の単身世帯に入り、三人で起こそうとしたが、彼とヘルパーさんだけで運ぶことが出来た。
エナードは彼女の腕を肩にかけて抱き起こし、そっとソファに座らせる。
そのあと、二人の女性から厚くお礼を言われた。
高齢女性は汗をぬぐい、ほっとした笑顔を浮かべた。
「ありがとうございました、本当にごめんなさいねえ。このお菓子、よかったら持っていって」
あなたは新しいお菓子の箱をもらいお礼を言ったが、彼は「お構いなく」と告げていた。