第6章 6
そして彼が戻って来て、にこにこと向き合う。
だが、引き留めたのはいいものの、やっぱり迷惑だっただろうかと考える。
彼が同じソファにいてくれて、心は安心していたけれど。
そんなあなたを前に、エナードは少しだけ考えるように黙っていた。
「さん、今度⋯⋯」
自分のほうを見て、彼が言葉を紡ごうとする。
あなたは、はっとしながら彼の言葉を待った。
「今度は、僕が⋯⋯ドラマを選んでもいいですか」
静かな誘いが、あなたの胸にしみていく。
小さく頷き、思わず彼のほうに、そっと身を寄せた。
「もちろんです、エナードさん⋯⋯そうしてください」
瞳がぶつかり、あなたは赤くなって、目をそらしてしまった。
膝と膝が近くて、指が触れそうで、意識をする。
だが、彼はわずかに顔をあなたのほうに寄せた。
二人きりで囁くような距離だ。
「あの……僕も、男なんですよ」
声は落ち着いていたが、彼の瞳は揺れている。
至近距離で見つめ合い、あなたの心臓は大きくなり始めた。
いつもみたいに明るく返せず、あなたは頬を染めたまま、瞳を閉じた。
それがあなたの気持ちだった。
すると、服がこすれる音がした。
「ん…………」
唇に彼の唇が触れている。
そのとき、心の中が温かく灯った。
唇は火花のように熱くなっているのに。
目をゆっくり開けようとすると、まだ彼がキスしていたので、慌てて閉じた。
すると静かに口が離される。
「あ……」
彼は目元をうっすら染めて、あなたを見つめている。
「……あの……今のは……」
「今のは……したかったので、しました」
エナードは瞳を一瞬伏せ、そう伝えた。
「あ……嬉しいです。ありがとうございます」
照れながら答えると、彼は何も言わなかった。
けれど二人の距離は近いまま、離れることはなかった。