第6章 6
「登場人物のやり取りが段階的に深くなっていって、よかったですね。……あなたはあの最後に自首したキャラクターに共感するだろうなって思いながら、見てました」
「えっ、どうしてわかったんですか! エナードさん、すごい洞察力ですよ、さすが~っ」
すると彼は体をこちらに向けて言った。
「さんは優しい人だからです。隣でも、すごく感情移入していたのが伝わりましたから。……あなたの気持ちになってみたら簡単でしたよ」
「⋯⋯ほっ……本当ですか。嬉しい……」
独特な鑑賞の仕方だと思いつつも、あなたはじわりと顔が染まっていく。
エナードが真面目にこの映画を見てくれて、よかったと言ってくれて、嬉しかった。
「一緒に見れてよかったです。楽しかったなぁ」
照れながら言うと、エナードはあなたを珍しそうに見つめた。あのじっとうかがうような眼差しではなく、知りたがるような感じだ。
そして彼は、腰を上げた。
「それじゃあ、そろそろ――」
「えっ。もう帰っちゃうんですかっ? 映画終わってすぐっ?」
そう尋ねたあなたの顔が、ものすごくショックで寂しそうだったのだろう。
そのうえ少しハートブレイク気味にも、エナードには見えた。
だから彼は上げた腰を、ゆっくり立ち上がらせてこう言った。
「いや……まだ帰りませんよ。トイレに行こうと思っただけです」
「……なんだぁ。そっか。あ、その奥のつきあたりです」
「⋯はい。知ってます」
間取りが似ているため、彼はそう頷いたあと、いったん消えた。
あなたは顔を整え、グラスに最後のワインを継ぎ足した。
表情は嬉しさを隠せていない。