第4章 Lazy Night
そんなことを考えている間にも、リカは勝手に話を進めていた。
「でさ、杏って忙しいじゃん?それなのにこんなん買って。
誰に見せるんだよーって話」
そんな事言ってるお前は俺に見せて何がしたいわけ?
買ったから自慢したいだけ、っていうのがわかってる。
だから俺は話を逸らした。
「どうせそのあと、また
二人でくだらねー水族館ランキング更新させて遊んでたんだろ」
「コスパの、葛西ね」
「タイパの品川」
「杏目線、地方からだから品川にあるのアツい。
ってかさ、あんた、水族館好きだっけ?」
「好きじゃねーよ、そんなとこ」
「でも語るよねー」
「語ってねえよ。
好きそうにしてるお前は、公式サイト眺めてニヤニヤしてるだけだしな。
まだ行きたいポイント貯めてんのかよ」
「わかってんじゃん。まだ行きたいポイント42」
特にポイントが実在するわけではない。
リカが勝手にカウントしているだけの数字。出不精の言い訳。
実際ポイントが貯まりきったことはないし、
いくつになれば行くのかも知らない。
貯まり切る前に俺が無理やり連れ出したとき、
帰ってきた時に発した言葉は
「水族館行きたいポイントがマイナスになった」とだけ。
「あ、この間言ってたペンギンの赤ちゃん、明日お披露目だって」
リカは脱いだシャツを洗濯機の方に投げながらそう言った。
洗濯物は的はずれな方向に飛ぶ。俺の目の前にポトンと落ちた。
バスルームまでのドアにも当たってない。コントロール悪すぎ。
ペンギンを見に行くか?と聞いても
どうせまた、混むからいかない、ポイント貯めきってない、
とかぐだぐだ言い訳を並べて断ってくるのが目に見えている。
だから俺は
「へー。相関図にまた一匹増えるな」
とだけ答えた。