第3章 Lazy Ex
これ以上、余計なことを言う前に
彼女の吸いかけのタバコを取り上げた。
少しひしゃげたフィルターに唇を這わせ、
彼女の、煙で自分の肺を満たす。
煙を吐き出すと、
彼女は同じタイミングでため息をついて2本目を取り出し火をつけた。
「あんた、またタバコないんでしょ、コンビニで買うもの増えたね」
ポケットのなかにある、開けたばかりのタバコの箱を確認しながら
彼女の言葉を静かに聞いた。
しばらく、静かに。
街灯や街の光が明るいながらも見える星を眺めながら。
ただ、煙を吐き出す音と居酒屋からの喧騒に耳を傾けた。
横を見るとリカはスマホを眺めている。
また、天気予報。
俺の視線に気づいて
「明日、晴れだって」
そう答えた。
「予定なんてないんだけどね」
「仕事行けねーからな」
「そう」
休日の予定が休日出勤しかないってどんな人生だよ。
月末は休日出勤も止められる。だから、月末だけは空いてしまう。
でも、それがリカの生き方なんだろう。
一方俺は、仕事以外なら、大抵予定が入る。誘われて、気付けば埋まってる。
月末だけは、空けてある。
リカとは、大きく違う生き方だ。
店員が「お待たせしましたー」と袋を抱えて出てくる。
テイクアウトの袋を受け取り、結局俺たちはあいつの部屋へと向かって歩き出した。
振った男と、振られた女。
世間から見れば無様なのはリカの方で、
俺は都合よく女を呼び出している元カレ。
紙巻きタバコの煙が肺に落ちていく。