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クズでごめん、

第3章 Lazy Ex


「そだ、うちの近くの居酒屋行こ。
 あそこ絶対タバコ吸える」
家の近くの居酒屋。
喫煙可能で、随分と気に入ってる店に向かうことにした。
 
金曜というのもあるのだろう。
当たり前のように自分の家の近くまで俺を連れて行こうとしてる。
駅に戻ってまた電車に揺られ、彼女の家の最寄り駅まで。
 
電車の中では散々電子タバコ販売員への愚痴を聞かされた。
興が乗ったらしく、各メーカーの特徴やメリット・デメリットを語っていた。
彼女曰く否定するなら知らないといけないかららしい。
そういう律儀なところ可愛いんだよな、って思ってしまって少し惨めになった。

「ねえ、聞いてるの?」
「聞いてる、おすすめはgloなんだっけ?Ploomだっけ?iQOS?」
「だからさー聞いてないじゃん」 
なんで使ってる俺より詳しいんだよ。
たまにある早口トークに圧倒されながらも
知識をひけらかす嬉しそうな笑顔しか頭のなかに入ってこない。
 
電車を降りてもまだ、彼女は電子タバコの話をしていた。
もういいって、とすら言う隙を与えない。
今度はVAPEの話を始めている。
あれはタバコではなくおやつだとかおもちゃだとか言っている。

居酒屋の前に着く頃には、
VAPEの煙の遊び方をレクチャーしてこようとしてきた。
タバコより簡単だから、って。
最終的にお前が勧めてんじゃねーかって思っても言わない。
こんなにも楽しそうなんだから。

目当ての居酒屋が見えてくると、リカの歩幅が少し広くなる。
「話してたせいで駅の喫煙所でタバコ吸うの忘れてた」
「ヤニカス」
「褒め言葉、はーと」
あの時の、はーと、は応用可能だったらしい。
この歩みの速さは居酒屋というより、居酒屋の灰皿に向かっている。
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