第3章 Lazy Ex
いつも帰るのとは違う路線。
偶然にも同僚に会ってしまった。定時付近にはたまにあることだ。
「あれ?家こっちだっけ?」
「いや、違う」
「……女か」
「まあ、そうだけど」
「やるねー」
周りの人間はすぐ女の話を俺に振ってくる。
面倒な話になる前に別の話に切り替えようとすると、
遊び方派手そうだと言われる。
だからと言って今の状況は人に言うようなことでもない。
いや、言えるようなことでもない、情けなさすぎて。
話が仕事の愚痴になったので助かった。
それを聞き流しながら電車に揺られた。
リカの職場の最寄り駅。
よく迎えに来てた、慣れきった場所。
スマホを見ても連絡がないので裏路地に入ったところにある、
人通りが少ない喫煙所に寄った。
取り出した電子タバコが震えるのを待つ間、ただそのランプを見つめた。
すぐ吸えるはずなのに待つと長い。
リカはそれを見ながら吸いたいときすぐ吸えない、
そう言ってたのを思い出した。
たった20秒ほど、されど20秒。
彼女にとっては、その20秒が待てないんだろう。